世界保健機関(WHO)で緊急事態対応を統括するライアン氏は16日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、世界各国が相次いで導入している入国制限措置について「包括的な感染拡大防止策の一つにすぎない」と述べ、乱用は避けるよう訴えた。各国が入国制限で満足し、国内での感染拡大防止の取り組みがおろそかになることを懸念した発言。
記者会見でライアン氏は、感染者や感染経路の割り出し、クラスター(感染者の集団)の封じ込めといった感染拡大防止策を並行して行わなければ、渡航制限措置は「何の効果ももたらさない」と強調した。
WHOは緊急事態宣言を発出済みだが、渡航や貿易の制限勧告は行っていない。感染拡大防止に向けた協力態勢や、必要な医療物資の流れが阻害されるといった、負の効果が大きいためで、導入する場合も事態の深刻さに応じて、できるだけ短期間にするよう呼び掛けている。(共同)