【主張】関電調査委報告 組織として一から出直せ

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 電力会社と地元有力者との異様な関係が改めて浮かび上がった。過去と決別し社会の信頼をいかに取り戻すのか。関西電力は、組織として一から出直さねばならない。

 関電の役員らが、原発のある福井県高浜町の元助役(故人)から金品を受け取っていた問題で、第三者委員会が報告書を公表した。経済産業省も関電に業務改善命令を出した。

 報告書の内容はあきれるばかりである。金品の受領は30年以上に及び、受領者は関電が一昨年行った社内調査より55人増えた。金額も約4千万円増の約3億6千万円に膨らんだ。

 何より元助役の関連会社に対する工事発注について、第三者委は金品への見返りとして、関電による便宜供与を認めた。それは利用者が支払った電気代が原発マネーとして還流する癒着そのものであり、第三者委は両者が「共犯者」になったと断じた。

 しかも関電は問題を取締役会に報告せず、公表もしなかった。報告書は株主や利用者の目線を欠いた「背信行為」「隠蔽(いんぺい)」と厳しく批判した。経営陣が問題に向き合っていれば、ここまで異様な関係を続けることもなかった。企業統治の機能不全は明らかだ。

 今回の不祥事を受けて同社の岩根茂樹社長は辞任した。森本孝新社長は記者会見で「報告書の内容を厳粛に受け止め、信頼回復に全力を尽くす」と述べた。だが、森本氏は副社長として岩根氏を支える立場だった幹部だ。そうした既存の体制を維持したままで抜本的な統治改革ができるのか。

 報告書が会長に外部人材を起用し、客観的な視点で改革に取り組むように求めたのは当然だ。関電の中には反発する声もあるが、閉鎖的な社内体質を大きく改めるためにも、会長を含めて大胆な人材活用が欠かせない。

 この金品受領問題は関電だけでなく、他の電力会社と原発立地自治体との信頼関係も大きく揺さぶっている。立地自治体は不信感を強めており、原発の再稼働をさらに遅らせる懸念もある。

 電力自由化を迎え、電力会社と立地自治体との関係は、旧来の因習を改めるなど透明性を確保しながら信頼を積み重ねることが重要である。そのためには政府も地元対策を電力会社に丸投げすることは許されない。原発再稼働などで地元との協議を主導すべきだ。

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