新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、外出や面会を控える動きが広がる中、インターネットを通じて各種の申請手続きなどができる「電子市役所」の取り組みが功を奏している。電子市役所を推進する大津市では税の申告や企業との打ち合わせで効果を発揮。職員のテレワーク(在宅勤務)が増え、働き方改革にもつながっている。(花輪理徳)
大津市によると、2月から始めたばかりの市民税・県民税の申告書の電子手続きの利用が17日までに200件あった。市民税課の職員は「感染拡大の影響か、例年よりも窓口に並ぶ人の数は減った。混雑が緩和されれば対応に職員を充てなくて済む。外出による感染リスクを減らせ、市民にもメリットがある」と話す。
また、同市では企業との打ち合わせのために大型ディスプレーや通信環境が整備された「ウェブ会議室」の利用が急増している。昨年11月の設置以降、12月~今年2月には1カ月あたり11件だったウェブ会議室の利用件数が、3月は予定されているものも含めて21件(18日時点)に上った。
職員のテレワークの活用も進む。感染拡大を受け、利用要件を緩和したことで新たに6人が登録申請し、利用する職員数は28人になった。これまでテレワークの利用は平均して1人あたり1~2カ月に1日程度だったが、2月28日以降は週に2日程度と頻度も高まっている。人事課の担当者は「自宅で仕事ができることが定着すれば働き方改革にもつながるはず」と手応えを口にする。
電子市役所の推進に取り組んでいる市イノベーションラボの担当者は「思わぬ形で電子化のメリットが実感できた」としている。