大麻取締法違反などの罪に問われた米国籍の男性(27)に対し、東京地裁は、警察捜査に重大な違法があったとして、無罪判決を言い渡した。検察側は懲役2年6月を求刑したが、押収薬物や鑑定書は違法収集証拠に当たるとして証拠能力を否定した。
18日の判決理由で深野英一裁判官は、警察官が職務質問の際に男性を転倒させたことなどを挙げ「令状によらず被告を制圧し、暴行とも評価し得る行為が繰り返され、種々の違法が重ねられた」と批判した。
公判では、頭をたたかれたなどとする男性の供述の信用性が争われた。深野裁判官は、男性が「ドント タッチ ミー(触らないで)」と繰り返したことについて「英語が全く分からず記憶にない」と述べた警察官に対し、「平易な英語が分からないとは考えにくい」と指摘した。
男性は平成30年11月、東京都渋谷区で大麻を含む乾燥植物片約0・2グラムを所持したなどとして起訴された。