東京・吉祥寺の駅前のマンションで23日朝、10代の兄妹が殺害されているのが見つかった。2人に手をかけたとして、警視庁に殺人容疑で逮捕されたのは、タイ国籍の実の母(41)だった。日本人の夫(38)らとの間で突然浮上した離婚問題で、親権を取られて子供を奪われるのではないかと、悩んだ末での犯行だったという。来日して約14年。築き上げた家庭を自ら壊すという選択をした彼女に何があったのか。(村嶋和樹、松崎翼)
●夫不在時の「凶行」
「子供を殺した」。23日午前、1人の女がJR吉祥寺駅東口交番に出頭してきていた。警視庁の捜査員らが、すぐ近くのマンション一室に足を踏み入れると、幼い兄妹の遺体が横たわっていた。
遺体のそばには、凶器に使ったとみられる包丁(刃渡り17センチ)と、果物ナイフ(刃渡り11・5センチ)が残されいた。「寝ていたところを刺した」。女はこう供述し、同日、殺人容疑で逮捕された。
警視庁組織犯罪対策2課によると、女はフルカワ・ルディーポン容疑者。このマンションで、長男の中学1年、古川絢一(じゅんいち)さん(13)と長女の小学4年、紗妃(さき)さん(10)と暮らしていたという。夫は5年ほど前から埼玉で単身赴任しており不在だったという。
●家族の「良好」信じ続ける?
フルカワ容疑者がわが子に手をかけたのは「家族」が引き裂かれようとしたことに端を発するという。
フルカワ容疑者は義父が営む宝石店で働いてた。タイでも元々、宝石関係の仕事をしており、その関係で夫と知り合い、平成18年ごろに来日したという。
ほどなくして結婚し、長男と長女にも恵まれた。駅前の高級マンションに居を構え、周囲もうらやむ幸せな家庭を築いていた。しかし、家族関係は徐々にほころびが見え始めた。