コロナ優先で対立回避 自民、小池都知事支援に転換





東京五輪の延期に言及する東京都の小池知事=3月23日、東京都新宿区の都庁

 東京都知事選(6月18日告示、7月5日投開票)をめぐり、自民党都連が独自候補擁立の方針を転換し、小池百合子知事の再選を支援する方向で最終調整に入った。新型コロナウイルス対応に追われる小池氏との対立を回避する狙いがある。都連は「勝てる候補者」探しに頭を悩ませていただけに、新型コロナが振り上げた拳を下ろすきっかけになったとの見方もある。

 自民党の二階俊博幹事長は24日昼、東京都連の内田茂最高顧問や高島直樹幹事長と都内で会食した。会食後、党幹部は記者団に「コロナで大騒ぎしているときに、知事選の話なんかしている場合じゃない」とはぐらかしたが、前日の都連幹部会合で「小池氏支援」の方向性を打ち出すなど外堀は埋まりつつある。

 流れをつくったのは新型コロナの感染拡大や夏の東京五輪・パラリンピックの延期論だ。都連幹部は最前線で対応にあたる小池氏との対立は得策ではないとして「大人の対応をしなければいけない」と強調する。 独自候補の擁立作業が進まなかったことも方針転換を後押しした。昨年6月に選考委員会を立ち上げたものの、「打倒小池氏」を託せる候補者が見つからず、8月を最後に選考委を開催できない状況が続いていた。 党本部はこれまで「小池氏に勝てる候補はいない」(二階氏)と繰り返し、都連に対して暗に擁立断念を促してきた。ただ、都連側には都議会で小池氏と対立してきただけに、簡単に矛を収められないという事情があった。ある党幹部は「持ち駒がないのにポーズだけとってもしようがない。こっち(党本部)はプロ野球をやっているのに、都連はまるで草野球だ」と冷ややかに語った。

 一方、野党は統一候補の擁立を目指すものの、候補者選びは難航している。国民民主党の榛葉賀津也参院幹事長は24日の記者会見で、「まずは野党第一党(立憲民主党)がどうするかだ。不戦敗ということはないだろう。お手並み拝見だ」と牽制(けんせい)した。

 その立民は一時、知名度の高いれいわ新選組の山本太郎代表の擁立を模索したが、野党幹部は「負けたときのリスクが大きい」として可能性を否定した。立民の蓮舫副代表(参院東京)の名が挙がったこともあるが、小池氏を倒せるほどの候補ではないとの見方が強く、国民幹部は「蓮舫より(大相撲幕内力士の)炎鵬のほうが可能性が高いくらいだ」と話した。(広池慶一、千葉倫之)



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