開港10周年を迎えた茨城空港(茨城県小美玉市)の愛称変更に関する有識者会議が24日、県庁で開かれ、国内では「茨城空港」の愛称を継続し、海外向けには「Tokyo」の名を冠した複数の候補案が提示された。茨城空港の名前が国内で定着し始めていることを踏まえつつ、海外向けの認知度向上を狙う試みだ。県は今後、パブリックコメントを募り、5月末をめどに愛称を絞り込む。
学識経験者や業界関係者など8人で開かれた有識者会議では、国内向けには従来の愛称を踏襲する一方、海外向けには全会一致で愛称変更の方針が決まった。
「茨城」という地名は国際的に認知度が低いことを踏まえ、有識者らは第一候補に「Tokyo・Ibaraki International Airport」を据え、東京の名前を用いるなどした6つの候補案を提示した。狙いについて、会議の座長を務める桜美林大学の戸崎肇教授は「海外に向け、世界的に有名な東京都の近くにある空港という認識を持ってもらうため」としている。インバウンドによる県内の交流人口増加に向け、ターゲットを外国人観光客に絞り、東京の名前を用いて、空港の世界的な認知度を高めたい考えだ。
空港の愛称をめぐっては以前から県議会を中心に「東京」を使った名称を付けるよう求める意見があり「東京北空港」「水戸黄門空港」などの案も出ていた。ただ、現状でも空港利用者数は着実に増加しており、昨年は過去最高の80万人を突破。うち約8割を国内線利用者数が占めている事実もあり、有識者らは国内では名称が定着していると考え、一層の浸透には「茨城空港」の愛称を踏襲する必要があると判断した。
県は今後、4月下旬から5月中旬にかけてパブリックコメントを募り、5月末までに案を絞り込む。(永井大輔)
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■茨城空港 正式名称は「百里飛行場」で、平成19年1月、公募の結果「茨城空港」の愛称が決定。航空自衛隊百里基地の共有空港として22年3月11日に開港した。当初はアシアナ航空(韓国)の1路線のみだったため、「カネの無駄」「戦闘機しか飛ばない空港」など多くの批判を受けていたが、現在は、格安航空会社(LCC)を用いたコンパクトな空港や駐車料金無料のサービスが奏功し、人気を博している。