イスラエル、連立政権成立の兆し 野党側トップが方針転換





7日、イスラエルの商都テルアビブで演説するガンツ元軍参謀総長(AP)

 【カイロ=佐藤貴生】イスラエル国会(一院制、定数120)は26日、中道・左派の野党勢力を率いるガンツ元軍参謀総長を議長に選出した。ガンツ氏は収賄罪などで起訴された右派・宗教勢力を率いるネタニヤフ首相を批判してきたが、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、首相らと協力して連立政権を発足させ、政治の停滞を終わらせるべきだと判断したもようだ。

 ロイター通信によると、エデルステイン国会議長の辞任表明を受けて26日に行われた投票の結果、ガンツ氏が右派の票も集めて後任に選ばれた。同氏は「通常の日々ではなく、特別な決断が求められていた」と述べ、与野党を超えた政権を早急に成立させる必要があるとの考えを示した。

 イスラエルのメディアによると、当面はネタニヤフ氏が首相職にとどまり、来年9月にガンツ氏に交代する案が出ている。ただ、両者とも確認はしていない。ガンツ氏が主導する野党側最大勢力「青と白」の幹部らは、「戦わずに降伏した」などと同氏の方針転換に反発している。

 イスラエルでは昨年4月と9月に国会選が行われたが、過半数を制する連立が組めず、3度目となる国会選が今月2日に行われた。ネタニヤフ氏より多くの推薦を集めたガンツ氏が連立交渉を行っていたが、政治の空転が続く中で新型コロナの感染が広がり、政権の早期成立を求める世論が強まっていた。イスラエルの新型コロナ感染者は2600人以上、8人が死亡した。



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