【ソウル=桜井紀雄】新型コロナウイルスに感染したかを検査するための韓国製診断キットの名称を韓国が不法占拠する竹島(島根県隠岐の島町)の韓国名である「独島(トクト)」にしてほしいとの請願が、韓国大統領府のホームページに寄せられ、30日現在32万人を超える賛同が寄せられている。
請願は25日に掲載され、「世界各国でわが国を新型コロナを克服した模範事例と認識」されているとした上で、感染者が急増する米国のトランプ大統領が韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領に電話会談で診断キットなどの支援を要請したことを指摘。キットを「独島」という名称で輸出すれば、「地球を守る守護神として独島のステータスを大きく高めるのに役立つ」と主張している。
韓国では一時、感染が急拡大したものの、6時間以内に感染を判定できる診断キットを生かした迅速な検査で押さえ込みに一定程度成功したと評価されている。韓国政府によると、100カ国以上からキットなど防疫物資の輸出や支援の要請があるといい、文政権は「他国の模範ケースであり、世界的な標準になる」などと自画自賛してきた。
請願の賛同が30日以内に20万人を超えると、政府が公式に回答する規定だ。文氏の熱烈な支持者らが賛同したとみられるが、国際共助が大事な防疫分野に日本との領土紛争を持ち出して冷や水を浴びせた形だ。