新型コロナウイルス感染拡大によって、総合商社各社は軒並み1日に開催予定だった入社式を、経営トップがインターネットでメッセージを配信するウェブ入社式に切り替えた。ぎりぎりまで対面の入社式を模索してきた三菱商事、豊田通商も直前にウェブに変更した。新人社員研修もウェブ対応とするなど例年と異なる状況だが、各社のトップは「不安定な環境下でもチャンスを見いだし、活躍する人財として前向きに取り組んでほしい」(丸紅の柿木真澄社長)などと、呼びかけた。
入社式を中止した伊藤忠商事では代わりに、本社ロビーに海外要人を迎えるときと同じようにレッドカーペットを敷き、桜をライトアップして、岡藤正広会長、鈴木善久社長が、新入社員を出迎えるイベントを実施した。企画を発案した岡藤会長は「こんな暗い時期だからこそがんばってもらいたい」と、代替企画の狙いを説明した。
三菱商事では、垣内威彦社長が「高い倫理観をもち、コンプライアンス順守だけでなく、自らも誠実な人格者になってほしい」と要望した。三井物産の安永竜夫社長は、「産み出したビジネスを育てる過程では、泥臭い仕事もあり、そういった修羅場の経験がが個を磨く」と、強調した。
各社ともに、新人社員研修は、就業規則、貿易実務、財務会計やビジネスマナーなどをオンライン映像を視聴する形式で実施するが、同時に社会人としての自覚を促す。特に「非常時の真っただ中」(豊田通商の貸谷伊知郎社長)であることを強調し、危機感を持って、新入社員が、新型コロナに感染しないよう注意することも呼びかける。