安倍晋三首相は6日、新型コロナウイルスの感染拡大に対処する政府の緊急経済対策の事業規模を総額108兆円とする方針を表明した。収入が減少した家庭に対する1世帯当たり30万円の現金給付や中小・小規模事業者向けの給付金に6兆円超を投じる。自民、公明両党は同日、対策の原案を了承した。政府は7日に経済対策と、その裏付けとなる令和2年度補正予算案を閣議決定する。
首相は6日、官邸で記者団に「(新型コロナが)経済に与える甚大な影響を踏まえ、過去にない強大な、国内総生産(GDP)の2割に当たる事業規模108兆円の対策を実施する」と述べた。企業の事業継続や雇用確保を目的に26兆円規模で納税や社会保険料の支払い猶予なども行う。
政府が自民党などに示した対策の原案では、30万円の現金給付対象は、世帯主の月収が2~6月のいずれかで減少し個人住民税非課税世帯の水準まで落ち込んだ世帯と、半分以上減り非課税世帯の水準の2倍以下となる世帯とした。市区町村の窓口への自己申告制とする。対象は約1300万世帯で、3・9兆円規模となる見通し。児童手当の受給世帯には子供1人当たり1万円を上乗せ支給する。
売り上げが前年度と比べて大幅に減少した中小企業やフリーランスを含む個人事業主などに対する給付金制度も創設。売上高が減少した中小企業を対象に3年度の固定資産税などを減免したり、国税や社会保険料の納付を猶予したりする。