20日に投開票が行われた参院選埼玉選挙区(定数4)において、参政党の新顔である大津力氏(53)が4位で初当選を果たしました。特に、トルコ国籍のクルド人が集住する埼玉県川口市では、大津氏の得票数が他の候補者を大きく上回り、全15候補中トップの約4万2千票を集めたことが県選挙管理委員会の資料から明らかになりました。全県での最下位当選だった大津氏の、川口市での突出した票の獲得と、同市での投票率の大幅な上昇は注目に値します。
参政党の大津力氏が参院選当選後にだるまの目に筆を入れる様子。埼玉県飯能市で撮影。
参院選埼玉選挙区、大津氏の異例の躍進
埼玉県選管の公表資料によると、今回の参院選埼玉選挙区では、自民党現職、国民民主党新人、立憲民主党現職、そして参政党新人の大津氏の4名が当選しました。公明党現職や共産党現職らは落選しています。大津氏は全県では4位での当選でしたが、川口市に限ると、その得票数は4万1923票に達し、自民党現職の約3万9千票、国民民主党新人の約3万8千票を上回り、同市内で最も多くの票を獲得しました。
川口市における投票行動の変化
今回の参院選における川口市の投票率は、前回令和4年の参院選と比較して9.11ポイント増加しました。これは全県平均の6.63ポイント増を約2.5ポイント上回る数字であり、川口市民の政治への関心の高まり、特に特定の問題に対する意識の表れと考えられます。この投票率の顕著な上昇も、大津氏の得票数に影響を与えた可能性があります。
「外国人問題」に焦点を当てた選挙戦略
大津氏は選挙戦において、川口市が抱える外国人問題に積極的に言及していました。彼は「日本の文化や風習がわからない人もおり、地域住民は本当に困っている。際限のない外国人労働者の受け入れに歯止めをかける」といったメッセージを繰り返し訴え、地域住民の抱える懸念に寄り添う姿勢を示しました。この訴えが、外国人集住地域である川口市において、特に有権者の共感を呼び、大量の票に結びついた要因の一つとみられています。
川口市における参院選得票数上位候補一覧(選管最終)
候補者名 | 党派 | 当落 | 川口市得票数 | 全県得票数 |
---|---|---|---|---|
大津力 | 参新 | 当 | 4万1923 | 46万5278 |
古川俊治 | 自現 | 当 | 3万9218 | 57万3114 |
江原久美子 | 国新 | 当 | 3万8120 | 53万5706 |
矢倉克夫 | 公現 | 落 | 3万5343 | 44万1613 |
熊谷裕人 | 立現 | 当 | 2万9232 | 48万0330 |
まとめ
参政党の大津力氏が参院選埼玉選挙区で初当選を果たした背景には、川口市における異例とも言える高得票がありました。この現象は、外国人問題という地域特有の課題に対する有権者の強い関心と、それに応じた候補者の選挙戦略が結びついた結果であると考えられます。今回の結果は、今後の日本の地域政治、特に外国人集住地域における有権者の動向と、それに対応する政治のあり方について示唆を与えるものとして注目されます。