東京など7都府県を対象とした非常事態宣言の発令が正式に表明されたことについて、海外メディアは欧米の厳格な外出規制などとは異なるとして、実効性を疑問視する報道が相次いだ。
7日付フランス紙フィガロは、「日本の緊急事態宣言は、現実には見せかけだけ」と評した。同紙は安倍晋三首相が参院決算委員会で、フランスのようなロックダウン(都市封鎖)はできないと述べたことを紹介し、「日本人は在宅を強制されないし、自粛要請に従わなくても企業は処罰されない」と指摘。自動車や航空産業が集中する名古屋周辺が対象地域に含まれていないことにも触れた。
ロイター通信は「日本では自粛要請を無視しても、罰則はない。ロックダウン(都市封鎖)にある多くの他の国の厳格さとは異なるようだ」と指摘。「東京では感染者が急増しており、非常事態宣言の対応は遅すぎる」と問題視する公衆衛生の専門家の見解も紹介した。
AP通信は、日本が新型コロナ対策として、大規模な検査の実施よりもクラスター(感染者集団)対策を重視してきたと指摘。その上で、「関連しない感染例が急激に増え、日本が取ってきた戦略は困難さを増している」と言及した。米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)も「コロナ対策で成功した後、アジアの国々は規制強化に追い込まれた」として、厳しい措置を導入していない日本やシンガポールなどで感染が拡大している様子を説明した。
韓国の聯合ニュースは、「安倍首相は緊急事態宣言に消極的だったが、感染者が急増し警告する声が大きくなったのに押され、宣言するに至ったとの分析もある」と報道。「新型コロナウイルス拡散の赤信号がともり、6日になって緊急事態宣言の意思を表明したのは、相当遅い感がある」と指摘した。(パリ 三井美奈、ニューヨーク 上塚真由、ソウル 名村隆寛)