放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会は8日、昨年7月に行われた参院選の比例代表に立候補を予定していた鈴木宗男氏に密着取材した様子を放送した北海道放送の番組について、放送倫理違反があったとする意見書を公表した。有権者に誤解を与え比例の投票行動をゆがめた可能性があると指摘し、選挙報道に求められる公平・公正性を害したと判断した。
問題となった番組は、北海道放送が参院選公示前日の昨年7月3日、夕方のローカルワイド番組「今日ドキッ!」で放送した。比例代表に立候補を予定していた鈴木宗男氏に密着取材し、その様子を約5分伝えた。鈴木氏は比例で当選した。
意見書では、比例代表制度は自分の住む都道府県に関わりなく立候補者や政党・政治団体に投票できることに言及。特定の立候補予定者のみを取り上げて、視聴者の印象に残るような編集をすることは有権者に誤解を与え、比例代表の投票行動をゆがめた可能性があると指摘した。
放送日が公示日の前日だったことに加え、密着取材の中で紹介した、鈴木氏が参院比例代表に出馬するに至った経緯、支援者の声、国会議員である長女との会話などは、特定の立候補予定者のみを視聴者に強く印象づけるような編集であるとし、「選挙報道に求められる公平・公正性を損なっており、放送倫理に違反する」と判断した。