【ロンドン=板東和正】英国のスナク財務相は8日、集中治療室(ICU)で新型コロナウイルス感染の治療を受けているジョンソン首相の病状について、「症状が改善している」と述べた。スナク氏は、ジョンソン氏がベッドで上体を起こし、病院の医療従事者とコミュニケーションを取れる状態だと明かした。
英政府が毎夕行う定例記者会見で説明した。記者会見に先立ち、首相報道官も8日、ジョンソン氏の病状について、「容体が安定しており、治療の効果が出ている」と話していた。ただ、スナク氏によると、ジョンソン氏は8日時点で集中治療室に入っており、予断は許さない状況だ。今後、集中治療室から出られても、治療には時間を要するとみられている。
ジョンソン氏は現在、執務を行っておらず、ラーブ外相が首相の職務代行を務めている。英メディアによると、英国では首相不在時の対応に関する明確な規定はないが、ラーブ氏は他の閣僚の同意を得た上で政権の意思決定を行う見通しだ。
ただ、感染症対策を指揮した経験のないラーブ氏が閣内の意見をまとめられるかを不安視する声もある。 英政府は先月23日に開始した外出制限について緩和するかどうかを近く検討する方針だ。与党・保守党の元議員は「緩和するか否かの議論は、経済の影響を重視する意見と感染拡大のリスクを懸念する意見が閣内で衝突する可能性がある」とした上で「双方の主張を調整するのは首相の代役には荷が重い」との見解を示した。
ジョンソン氏は3月27日、先進7カ国(G7)の首脳として初めて自らの感染を公表していた。