
(写真:朝鮮日報日本語版) /写真=NEWSIS
「サッカーは単純なスポーツだ。22人が90分間ボールを追いかけ、最終的にドイツが勝つ」
【写真】ドイツを破り喜ぶ日本
英国のサッカー・レジェンド、ゲーリー・リネカー氏は1990年のサッカー・ワールドカップ・イタリア大会でドイツに敗れた直後にこう述べた。実際にそうだった。かつてドイツ代表はたとえ戦力が低下したと評された場合でも必ず準決勝には進出していた。その屈強なドイツ・サッカーが2018年のワールドカップ・ロシア大会に続き今大会もグループステージ敗退という屈辱を味わった。
専門家の多くはドイツ・サッカー没落の理由を「50プラス1ルールにある」と指摘する。「50プラス1%」をクラブのファンと会員の所有と義務づけ、個人が49%以上を所有できないよう規制をかけているのだ。自国のリーグがあまりに商業化された現状を改善し、クラブのサポーターでもある会員たちが平等にクラブの経営に参加するという趣旨だ。労働者のサッカークラブからスタートしたドイツ・ブンデスリーガの歴史と哲学が反映されたルールでもある。理屈の上ではこの上もなくよく聞こえる。実際にこのルールのおかげでブンデスリーガのチケット代は他の欧州リーグに比べて半分以下と安く、忠誠心の強いファンである株主たちは試合のたびにスタジアムに足を運ぶ。
問題はブンデスリーガの競争力が徐々に低下していることだ。下位のチームが上位のチームに勝つにはイングランド・プレミアリーグのようにサウジアラビア王子クラスの超大金持ちがクラブを買収し、大々的な投資を行わねばならない。しかしドイツでは原則としてこれは不可能だ。そのためブンデスリーガはスポーツの生命とも言える順位競争がさほど熾烈(しれつ)ではない。週末の試合が終わるたびに順位が入れ替わるイングランド・プレミアリーグとは違い、ブンデスリーガでは2012年シーズンから10年連続でバイエルン・ミュンヘンが優勝している。
欧州各リーグの上位4チームが欧州最高のクラブをかけて争うチャンピオンズリーグでも、バイエルン・ミュンヘンを除けばドイツ・チームの存在感はほぼない。さらにソン・フンミンのように優れた選手はより多くの収入を求め次々と他国のリーグに進出する。毎年優勝するバイエルン・ミュンヘンの会長自ら「50プラス1ルールを廃止しなければ大きな代償を払うことになるだろう」「50プラス1ルールはポピュリズムだ」と強く非難した。