【北京=三塚聖平】中国税関総署が14日発表した3月の貿易統計(ドル建て)によると、輸出は1~3月の累計で前年同期比13・3%減の4782億ドル(約51兆5千億円)だった。1~2月(17・2%減)からは減少幅を縮小させたものの、新型コロナウイルス蔓延(まんえん)による影響が依然続く。各国での感染拡大により世界経済の悪化懸念も強まっており、中国の輸出改善を妨げる可能性がある。
1~3月の輸入は2・9%減の4650億ドルで、貿易総額は8・4%減の9432億ドルだった。国・地域別の輸出では、米国向けが25・2%減、欧州連合(EU)向けが16・0%減、日本向けが16・0%減と大幅な悪化が続く。一方、東南アジア諸国連合(ASEAN)向けの輸出は0・4%増と伸びている。
3月単月では輸出が前年同月比6・6%減で、輸入が0・9%減。いずれも1~2月から減少幅は縮小している。感染防止のため休業を続けていた企業の業務再開が進み、中国国内で貿易活動が動き出したことが寄与した。
今後の懸念材料として警戒されるのは世界経済の悪化だ。税関総署の李魁文(りかいぶん)報道官は14日の記者会見で、新型コロナの世界的な感染拡大を挙げて、「世界経済の下押しリスクは増しており、不確定、不安定な要素は多くなっている。わが国の外国貿易が直面する困難は増大する」との認識を示した。世界での需要が減退することで、中国の輸出が悪化する恐れがある。