静岡補選 岸田氏「弔い合戦」 野党は共闘の試金石





衆院静岡4区補欠選挙が告示され、間隔を空けて候補者の訴えを聞くマスク姿の有権者ら=14日午前、静岡市

 衆院静岡4区補選(26日投開票)は、新型コロナウイルスの感染拡大で屋内での集会や握手は自粛せざるを得ず、与野党ともに異例の選挙戦を強いられている。自民党の岸田派(宏池会)を率いる岸田文雄政調会長は、同派議員の死去に伴う「弔い合戦」を制し、ポスト安倍の地位を固めたいところだ。一方、主要野党は候補者の一本化にこぎつけ、次期衆院選で共闘できるかを占う試金石となる。

 「緊急事態宣言が発せられている中、国会議員が私も含め現地に入れない。大変、申し訳ない」。岸田氏は補選が告示された14日、党本部政調会長室からインターネット電話「スカイプ」で党の新人候補、深沢陽一氏にこう呼びかけた。

 今回の補選は岸田氏にとって負けられない戦いだ。昨年7月の参院選では派の議員4人が落選。自身の地元・広島では派の重鎮が競り負け、指導力を問われた。静岡5区では派の現職と他派閥議員が競合したまま調整がついていない。

 岸田派は4月に予定していた派閥パーティーを延期し、総力戦で補選に臨むよう構えた。3月中旬から秘書団を派遣して団体を回らせ、4月以降は議員も常駐する予定だった。しかし、コロナの感染拡大が補選に波及し、7都府県に緊急事態宣言が発令されると東京から議員が応援に入るのも控えざるを得なくなった。

 感染拡大後、初となる国政選挙は、政府の緊急経済対策や休業補償の在り方が問われる。減収世帯に限られた現金給付など政府対応には批判も多い。手探りの選挙戦に「手応えを感じにくい」と陣営からは不安の声も漏れる。

 一方の立憲民主、国民民主、共産、社民の野党4党は、無所属新人の田中健氏を統一候補として後押しする。

 当初、共産も独自候補を擁立していたが、最終的に一本化し、野党共闘の形を整えた。ただ、地元からは感染防止のため県外の国会議員の応援自粛を求める声が出ている。各党にも温度差があり、立民幹部は「『やりにくい選挙』といわざるを得ない」とこぼす。(長嶋雅子、田村龍彦)



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