和牛の精液や受精卵など「遺伝資源」の海外流出を防ぐための関連法が17日、参院本会議で可決、成立した。和牛は海外で人気が高まっており、不正な利用や転売、輸出を差し止めたり、刑事罰を科したりできるようにする。
遺伝資源は長年の品種改良によりできた知的財産と見なし、保護を強化する。精液の不正入手や無断転売があれば、都道府県の畜産試験場などが差し止めを請求できる。国内利用に限定する契約に違反して輸出しようとした場合も違反となる。違反すれば10年以下の懲役や1千万円(法人は3億円)以下の罰金が科されることもある。
新法は「家畜遺伝資源の不正競争の防止に関する法律」。このほか、過去の取引をたどれるようにするため、家畜改良増殖法を改正し、流通管理を強化する。精液が入ったストロー形の容器に牛の名前や採取日を書き込むことや、販売先を帳簿に記録することなどを義務付ける。
和牛の精液と受精卵が中国に持ち出される事件が2018年に発覚。農林水産省は、和牛のブランド力が落ちるとして規制強化を進めていた。(共同)