英EU貿易交渉が1カ月半ぶり再開 新型コロナで遅れ





EUのバルニエ首席交渉官(AP)

 【ロンドン=板東和正】英国と欧州連合(EU)による自由貿易協定(FTA)など新たな関係構築に向けた交渉会合が20日、約1カ月半ぶりに再開した。交渉は新型コロナウイルス感染拡大の影響で遅れており、年内にまとめるのは一段と困難になってきた。英国は交渉期間延長を拒否する考えを崩しておらず、経済混乱を伴う「合意なき離脱」と同じ状況に陥る恐れがある。

 交渉会合は20日、テレビ会議形式で行われ、EUのバルニエ首席交渉官とフロスト英首席交渉官らが出席した。3月上旬の初会合以来の開催で24日まで。当初は3月中に予定されたが、バルニエ氏が新型コロナに感染し、フロスト氏も新型コロナとみられる症状が出たことから延期された。

 英国は1月末にEUを離脱し、年末までは現状の経済関係を保つ「移行期間」にある。双方はこの間のFTA合意などを目指す。移行期間の延長は可能だが、6月末までにその是非を決めなくてはならない。交渉がまとまらず、延長もされなければ、英EU間の貿易には関税が発生する恐れがある。

 交渉は当初から公正な競争条件の確保や漁業権などをめぐり、双方の溝は大きく、年内の合意は困難視されている。さらに想定外の新型コロナの影響でずれ込んだ結果、延長しなければ交渉はまとまらないとの見方が一層強まっている。療養中のジョンソン英首相が直接指示することが難しい状況も交渉を手間取らせる可能性がある。

 英国とEUは5、6月にも1週間程度の会合を開く予定で、6月末までに協議の進捗(しんちょく)状況を評価し、移行期間延長の可否を判断する見通し。だが、フロスト氏は16日、自身のツイッターで「延長を(EUに)要請しないし、EUから要請があればノーと答える」と断言。ジョンソン英首相と同様に早期の「完全離脱」を目指す姿勢を貫きたい考えとみられる。

 一方、バルニエ氏は21日、ツイッターで「6月までに具体的な進展を得ることが目標だ」と述べるにとどめた。



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