新型コロナウイルスの感染拡大は米ハリウッドをはじめ、世界の映画界に大打撃を与えている。「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」「ムーラン」などの新作の公開延期が相次いでいるほか、製作中の多くの作品も撮影中断に追い込まれている。また非常事態宣言や外出禁止令などで休館を余儀なくされた映画館も多い。とくにミニシアター(小規模映画館)にとっては死活問題で、支援の輪も広がり始めた。(水沼啓子)
米国のエンターテインメント専門誌「バラエティー」(電子版)などによると、2月下旬にクランクインしたばかりの米ユニバーサル・ピクチャーズの人気シリーズ最新作「ジュラシック・ワールド/ドミニオン」の撮影が、新型コロナウイルスの影響で中断した。
米ワーナー・ブラザースも、キアヌ・リーブス主演「マトリックス4」の撮影を中止。米政府による欧州からの渡航制限を受け、独ベルリンで予定されていた撮影が難しくなったためとみられる。
ウォルト・ディズニー・カンパニーは、自社が手がける長編映画の撮影をすべて中断すると発表した。撮影準備中を含め、「リトル・マーメイド(実写版)」や「ピーター・パン(実写版)」「ホームアローン(リブート版)」などが対象とみられる。
20世紀スタジオが製作中の「アバター」の続編にも影響が出ており、全米公開予定日を当初より1年延期する措置がすでに取られている。
ワーナー・ブラザースでは「ザ・バットマン」の撮影を中断。英ロンドンで3月にクランクインする予定だった「ファンタスティック・ビースト3」の撮影も延期されたままとみられる。
邦画では、山田洋次監督の新作「キネマの神様」の撮影が見合わせられている。新型コロナウイルスに感染し死去した志村けんさんが主演する予定だった。
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緊急事態宣言の全国への拡大で、多くの映画館が休館に追い込まれている。映画配給大手12社の3月の興行収入が前年同月比7割減となったが、4月はさらに壊滅的な数字となりそうだ。中でも、ミニシアターに与える影響は大きい。今の状況が6月まで続けば、経営難から廃業する映画館も続出することが予想されると訴える。