【主張】一律10万円 迅速な給付に全力挙げよ


 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う対策として国民1人に一律10万円を支給する特別定額給付金の概要が示された。窓口となる市区町村が住民票で確認した世帯主の住所に申請書を送り、郵送やオンラインで給付申請を受け付ける。

 早ければ5月中には申請があった銀行口座に振り込むというが、外出自粛の影響などで困窮している人は多い。一日も早い給付が不可欠である。事務手続きなどが停滞することのないよう、自治体は万全の準備をしてもらいたい。

 自治体窓口には「給付を受け取るにはマイナンバーカードが必要なのか」という問い合わせが急増している。今回の給付はカードがなくても郵送で手続きを完了できる。政府はこうした点を国民に分かりやすく説明してほしい。

 手続き概要によると、住民票がある市区町村から送られてくる申請書に、世帯主が本人名義の金融機関の口座番号などを記入する。口座を確認できる書類と本人確認の書類のコピーをそれぞれ添付して送り返せば、世帯人数分の給付金がまとめて振り込まれる。

 今月27日時点の住民基本台帳に記載されている人が給付の対象となる。マイナンバーカードを保有する世帯主は、オンライン申請で家族分の給付が受けられる。高齢者らには窓口で現金を支払うような取り組みも考えるべきだ。

 現金給付は緊急経済対策に盛り込まれた。給付財源を確保する令和2年度補正予算案は30日にも成立する。これを待って自治体は申請書の郵送を始め、1カ月後をめどに振り込む予定だ。早期に支給できるように政府も支援しなければならない。

 返送された申請書をデータ化する作業などには時間がかかる。光学式読み取り装置を導入するなどで効率化を図りたい。政府の支給を待たずに給付金の先行振り込みを計画する自治体もある。それぞれが工夫を凝らしてほしい。

 家庭内暴力などの被害者で、住民票の所在地と異なる場所で暮らす人は、いま住んでいる自治体に申し出書を提出すれば、同居する子供らの分も含めて受給できる。きめ細かな対応を求めたい。

 新型ウイルスとの戦いが長期化する場合、追加の給付金も検討すべきだ。外出自粛などで国民の協力を得るには遅滞ない給付が欠かせないことを認識してほしい。



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