政府は新型コロナウイルス感染症をめぐる5月6日までの緊急事態宣言の解除・延長について、今月30日以降に専門家の分析を踏まえ判断する方針だ。政府内では全国一律の解除は困難とみる向きが多く、延長する場合は期間や対象区域が焦点となる。
安倍晋三首相は28日の衆院予算委員会で「欧米に比べ日本は抑えられているが、地方への感染拡大がみられ、この戦いは長期戦を覚悟する必要がある」と述べた。東京都で28日に新たに感染が発覚したのは112人で、政府高官は「二桁ならよかったのにな」とつぶやいた。
宣言の延長・解除の判断の目安は国内の感染者数や医療機関の逼迫(ひっぱく)度などだ。新型コロナ対策を担当する西村康稔経済再生担当相は28日の記者会見で、16日に宣言を全国に拡大して30日で2週間となることを踏まえ、「その後に接触削減の効果・成果がデータとしてみえてくる。専門家は5月6日のぎりぎりまでデータをみたいといっている」と説明。一方で「ぎりぎりに決めると混乱が生じる。途中の段階で、期間や地域のデータについての考え方を示していただき、適切なタイミングで判断する」と述べた。
政府関係者は「今のところ緩める要素はない。新規感染者数が激減しない限り、東京都など13の『特定警戒都道府県』をすべて解除することはできないだろう。特定警戒を増減させるか、残り34県をどうするかではないか」と話した。
延長する場合の幅は、2週間や5月末までの3週間程度を軸に検討が進みそうだ。大幅延長では経済や国民生活への影響が拡大するうえ、大型連休中の接触削減のデータが2週間後以降に表れることなどが背景にある。
政府内には、特定警戒ではない34県も延長すべきだとの意見がある。宣言の対象区域から解除された地域に人が移動し、感染が広がるリスクがあるためだ。
感染が広がっていない地域を解除する案もある。その場合でも、外出自粛要請を維持したり、移動の際の指針を作ったりするなど、感染拡大防止に向けた方策は続ける構えだ。