【ソウル=名村隆寛】新型コロナウイルスの感染が沈静傾向にある韓国では、30日から大型連休が始まり、全国の観光地やリゾート地には人出が戻っている。今年は5月5日まで6日間の飛び石連休で、韓国メディアによると、国民の4割が連休期間中に旅行を計画している。
南部の済州(チェジュ)島には連休期間中、18万人の観光客が訪れる見通しで、韓国空港公社は、5月6日までのソウル西方の金浦(キンポ)空港-済州間の運航便は1日平均238便、計1670便になるとみている。
ソウル駅から地方各地に向かう高速列車の切符も4月29日の時点で多くが売り切れとなり、30日には満席の列車も続出。首都圏から地方への高速道路でも30日午前から渋滞が目立った。30日は釈迦の生誕日(旧暦の4月8日)の休日で、ソウル中心部の寺院には朝から高齢の信者が大勢集まり、感染の収束などを祈った。
済州島や名峰の雪岳山(ソラクサン)がある東部の江原道のリゾート地では、宿泊施設の予約率が上昇しており、ほぼ満室となったホテルもある。感染拡大で一時は10%台に落ち込んでいただけに業界関係者は歓迎している。
韓国当局によると、30日午前0時時点での新規感染者数は4人にとどまり、いずれも海外からの入国者だった。国内での新規感染はゼロで、2月に新興宗教団体の信者らの集団感染が判明して以降は初めて。全体の感染者は1万765人で死者は前日から1人増え、247人となった。
また、韓国政府は30日、15日に投開票された総選挙に関連した感染事例は「現在までない」と明らかにした。14日間の潜伏期間が過ぎたため「発生しないとみられる」としている。
一方で「新型コロナ(感染)はまだ進行形だ」(防疫対策本部)として、警戒を緩めていない。
韓国では今回の大型連休は「感染事態の分水界」(韓国メディア)と受け止められており、連休中の国民の動向や当局の対応が、感染の沈静に向かうか、再拡大を招いてしまうかを左右するものとして注視されている。