新型コロナウイルスの感染拡大を受け、外出自粛要請とともに「3密(密閉、密集、密接)」を避けるため多くの公演や舞台が中止になっている。そんな中、ビデオ通話などを使い、ツイッターといったソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上で演劇を披露するリモート劇団が続々と誕生している。自宅に“自主隔離”を余儀なくされている人々が、エンターテインメントを楽しむ新しい試みとして注目されている。(水沼啓子)
俳優の柄本時生、岡田将生、落合モトキ、賀来賢人の4人が「劇団年一(ねんいち)」を結成。ビデオ通話を使ったオールリモートによる第1回作品「肌の記録」を制作し、今月7日から2週間限定配信でユーチューブで無料公開されている。
「肌の記録」は約2週間のリモート稽古を重ね、約60分のワンカット、一発撮りで完成させた。脚本、演出を手掛けた「劇団た組」主宰の加藤拓也さんはツイッターで「リモートなので皆とアイデアを出したり捨てたりしながら出来上がった映像作品です!楽しかった」とコメントしている。
あらすじは、今から約100年後、外出が基本禁止となった世界を舞台にオンライン上でしか会ったことがない幼なじみのときお、けんと、まさき、もときが暇で仕方ない日々を楽しくするため、昔の文化を想像と勘で復活させていく物語。
再生数は12日現在、15万回を超え、コメント欄には「これほんとに無料でいいの…?」「演技上手いなあ…さすが役者さん」「オンライン舞台を観てる感じ」「新しい形の観劇」「初の試み感が物語になっててすごい!」といった感想が寄せられ、好評だ。
一方、“NO密で濃密なひととき”をテーマとする「劇団ノーミーツ」。エンタメ関連の仕事に携わる3人が集まり、4月に発足させた。インターネット会議システム「Zoom」を活用し、打ち合わせから本番まで1回も会わずにフルリモートで演劇作品を作っている。