【主張】緊急事態39県解除 感染対策と経済の両立を

[ad_1]

 ■「3密」避ける行動を続けたい

 政府が14日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた全都道府県対象の緊急事態宣言について、「特定警戒都道府県」だった茨城、石川、岐阜、愛知、福岡を含む39県の解除を決めた。東京や大阪など残る8都道府県は継続し、21日をめどに解除の是非を改めて判断する。

 政府は、直近1週間の新規感染者数が「人口10万人当たり0・5人以下」になるなど感染状況の好転や、重症者増に対応できる医療提供体制、PCR検査など感染状況の監視体制を総合的に踏まえ解除を決めた。

 ◆気を緩めれば再拡大へ

 39県の解除を歓迎したい。

 命を守る上で必要な感染症対策だったとはいえ、外出自粛や休校、店の休業などによる社会・経済への副作用は大きかった。

 ただし、気を緩めれば再び感染が拡大しかねないことを肝に銘じたい。人との距離をとるなど感染防止に効果的な行動をやめてウイルス禍以前の生活に戻ったり、自粛でたまったストレスを一気に発散しようとして密閉、密集、密接の「3密」状態を作り出したりすればこれまでの努力が水泡に帰すことになりかねない。

 外出制限が緩和されたドイツや韓国では感染再拡大の懸念が強まっている。北海道は独自の緊急事態宣言で感染を抑えたが解除後に拡大し特定警戒都道府県になった。オーバーシュート(患者の爆発的急増)の恐れが去ったわけではなく、政府はその兆しがあれば対象区域に再指定する方針だ。

 感染対策と社会経済活動の段階的再開の両立という難しい課題を解かなければならない。

 特定警戒都道府県に残った8都道府県でも人の動きが増え出しているが、これまで通りの外出自粛やテレワークを続けたい。それが解除への近道だ。大阪府は独自の基準を設けて休業要請の段階的な解除に進むが、府の想定以上に緩まぬよう注意は欠かせない。

 安倍晋三首相は記者会見で、外出自粛やテレワークなどに協力した国民に感謝を表明した。解除された県の人々に「あらゆる場面でウイルスへの警戒を怠らないでほしい」と述べ、新たな日常を取り戻す「本格的なスタートの日だ」と語った。

 首相が解除の考え方を説明し、予防策の徹底継続を呼び掛けたのは妥当だ。ウイルス対策は手探りの状態であり流行の第2波がいつ襲ってくるか分からない。特に秋冬に感染が急拡大する場合に備えたい。

 解除した県を含め病床の確保など医療体制の整備を急がねばならない。首相が語ったように、各種の検査体制を拡充して市中感染を抑えることやワクチン、治療薬を準備することも極めて重要だ。知事の休業要請に応じない事業者への罰則を作るなど特措法改正へ具体的に動き出す必要もある。

 ◆学校の再開も工夫せよ

 未来の日本を担う子供らの学業を再開することは極めて大切な課題である。オンライン授業の充実と並行して可能なところから学校再開を急ぐべきである。

 安倍首相は新型ウイルス対策のための第2次補正予算案の編成を命じた。

 39県で経済活動が動き始めるとしても、経済が極めて厳しい状況下にあることに変わりはない。東京や大阪などの大都市圏では緊急事態が続くのである。

 そのなかで、いかに経済の苦境を和らげられるかが問われる。雇用や暮らしを守るため、引き続き経済の「止血」に政府が全力を尽くすべきは当然である。そのためにも、2次補正予算を速やかに作り成立させることをまずは優先すべきだ。

 2次補正に盛り込む施策は多い。例えば、休業で収入を失った人たちを支える雇用調整助成金の拡充や休業者への直接給付金がある。固定費捻出がままならない事業者への家賃負担軽減策も必要だ。困窮学生に対する支援も喫緊の課題である。

 いずれも、従来の支援策では不十分であったり、手続きが煩雑で迅速に対応できなかったりしたことに起因する追加策だ。規模面でも手続きのスピードや使い勝手の面でも万全の策を講じたい。

 2次補正の早期成立に向けて自民党と立憲民主党の政調会長らが協議を始めた。ウイルス禍を乗り越えるため与野党は協力しなければならない。

[ad_2]

Source link