7月20日に放送された参院選特別報道番組『zero選挙2025』(日本テレビ系)で、「嵐」の櫻井翔がキャスターとして出演したが、その存在意義に対する疑問の声がSNS上で多数上がった。長年、報道番組『news zero』の顔として活躍してきた彼に対し、「ただの飾り物になっている」「発言がない」といった厳しい批判が相次ぎ、その役割と「コメント力」が改めて問われる事態となっている。人気アイドルでありながら19年ものキャスター歴を持つ櫻井翔に、一体何が起きているのか。その背景と視聴者の評価を深く掘り下げる。
櫻井翔、柔和な表情を見せる姿。キャスターとしての役割が問われる中、公の場での振る舞いが注目されている。
報道番組『news zero』から選挙特番への継続的な起用背景
櫻井翔は、平日夜の報道番組『news zero』(旧『NEWS ZERO』)の月曜キャスターとして、2006年の番組開始当初から約19年にわたり務めている。その経験を活かし、選挙特番においてもその存在感を高めてきた。2000年代にはプレゼンターやナビゲーターとして出演し、2019年からはメインキャスターを務める機会が増加。今回の『zero選挙2025』では、フリーアナウンサーの藤井貴彦氏とともにWメインキャスターという重要な役割を担った。番組内では、櫻井と同学年である自民党の小泉進次郎氏との対談企画も組まれ、注目を集めた。
SNSで噴出した「飾り物」「発言なし」との厳しい声
午後8時から深夜にわたる生放送で、参院選の開票状況や今後の展望が伝えられる中、X(旧Twitter)上では櫻井翔のキャスターとしての役割に対し、厳しい声が多数上がった。「櫻井翔は何も言わないでただの飾りになってるな」「櫻井翔は絶対いなくていいだろこれ。ずっと進行的なとこに立ってるくせに、もう1時間くらい一言も発してないんじゃないか?」「いなくても特に問題ない感がすごい」「櫻井翔とかいう置き物いらんでしょ」といった批判的なコメントが散見された。
番組では、石破茂首相、国民民主党の玉木雄一郎代表、参政党の神谷宗幣代表らが生中継で出演し、政治情勢に関する深い議論が交わされたが、視聴者の指摘によると、これらのやり取りにおける質問役は藤井貴彦アナウンサーに偏り、櫻井翔の発言場面は極端に少なかったという。番組の顔であるメインキャスターであるにもかかわらず、スタジオで「置き物」状態に見えたという印象を抱いた視聴者も少なくなかったようだ。
キャスター歴19年の実績と長年疑問視される資質
2006年の『NEWS ZERO』開始以来、月曜キャスターとして活躍し続ける櫻井翔は、キャスター歴が19年にも及ぶベテランだ。番組創設時の出演者であった村尾信尚氏や日本テレビの鈴江奈々アナウンサーらが全員卒業する中で、櫻井は番組で最も古株の存在となっている。これまでの実績として、東日本大震災、終戦特集、オリンピックなど、多岐にわたる重要な分野での取材に関わってきた経験がある。
しかし、その長年のキャリアや実績とは裏腹に、櫻井のキャスターとしての資質については以前から疑問の声が挙がっていたのも事実である。アイドルとしての人気と知名度がある一方で、報道における専門性や発言内容に対する視聴者の期待と現実のギャップが、たびたび指摘されてきた。
過去の報道姿勢への批判と「コメント力」の課題
櫻井翔の報道姿勢が批判の対象となったのは、今回が初めてではない。2023年5月には、旧ジャニーズ事務所の性加害問題が番組で取り上げられた際、櫻井がカメラから“フレームアウト”し、コメントを避けたことが問題視された。結局、彼がコメントしたのは翌6月になってからで、その“スルー対応”は視聴者から厳しい批判を浴びた。
さらに、2025年3月には、フジテレビなどが設置した第三者委員会が、かつての先輩である中居正広氏の女性トラブルを性暴力と認定した件が報道された。櫻井はこの際、フジテレビにハラスメントが蔓延していたとする報告書の内容には触れたものの、中居氏の具体的なトラブル内容には言及せず、「一般論」に終始するコメントに留まったため、SNSで「踏み込み不足」と指摘された経緯がある。
今回の選挙特番での発言の少なさや、過去の報道における“踏み込み不足”といった事例から、長年のキャリアがあるにもかかわらず、視聴者を納得させる「コメント力」が十分に身についているのかという根本的な問いが、改めて突きつけられている。
今回の『zero選挙2025』での視聴者からの批判は、櫻井翔氏が長年にわたり報道番組の顔を務めてきたにもかかわらず、その発言力や存在意義が繰り返し問われている現状を改めて浮き彫りにした。キャスターとして専門性、経験、権威性、信頼性といったE-E-A-T原則に基づいた役割を全うし、視聴者を納得させる「コメント力」をいかに磨いていくか、そして報道の現場で真価を発揮できるのか。今後も櫻井氏のキャスターとしての姿勢と進化が注目される。
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