山梨県は4月、いくつもの民間企業で広報を担当し、現在はコンサルティングや企業広報を手掛けるキープペダリング(東京)の社長を務めるトンプソン智子さん(54)を非常勤の参与(広聴広報担当)に任命した。民間の経験を生かして、県の情報の効果的な発信をアドバイスしているトンプソンさんに聞いた。(渡辺浩)
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どうしてトンプソンなのって、みんな知りたそうなので説明すると、学生時代につくば科学万博のコンパニオンをしていたときに知り合った米国人男性と、その後結婚したからです。
東映で働いていたとき、香港で「美少女戦士セーラームーン」のショーを行うため現地で記者会見したら、香港の新聞各紙に1面で報道されて、天職は広報だと目覚めました。
それで、米国系PR代理店に移って勉強したんです。チリ大使館から「チリを有名にしてくれ」と頼まれたので、ワインを前面に出したら、空前のチリワインブームが起きました。
ただ、その会社の社長から金曜日に突然呼び出され、「トモコ、月曜から出社しなくていい」と解雇を言い渡されました。その後、別の米国系企業でもリストラを経験し、人生のどん底の連続でしたが、いい財産となりましたね。
ゴルフ場をいくつも運営する東証1部上場会社で広報部門を立ち上げ、事件や事故、不祥事など危機管理にも直面しました。この会社でTOB(株式公開買い付け)を仕掛けたのと仕掛けられたのと両方経験しています。そんな広報担当、たぶん日本で私だけです。
5年前に起業して軌道に乗ったと思っていたら、社長のまま山梨県の広報を手伝ってほしいと頼まれ、考えた末、運命だと悟り、断る選択肢はないなと、お引き受けを決断しました。