「スタートアップ(SU)」と呼ばれる創業初期のベンチャー企業の42%が半年以内に資金ショート(枯渇)に陥ると懸念していることが、ベンチャー企業を支援するデロイトトーマツベンチャーサポート(DTVS、東京都千代田区)が18日に発表したアンケートの結果で分かった。
調査は5月1~10日、374社から回答を得た。調査結果によると、現在確保している手元資金が3カ月未満というSUの割合は全体の22%。新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済混乱により、今年に入ってから資金調達を実施したSUの68%で調達に影響が出ているという。
国や自治体が相次いで、中小企業向けの緊急融資や助成金の交付などを実施しているが、56%のSUで「要件に当てはまらない」ことを理由に断念している。
緊急融資のほとんどが前年との売上高が減少していることが条件だが、成長過程にあるベンチャー企業にはこの要件にあてはまらないことが多い。また該当しても、すでに多くの借入金があり、追加の融資を受けられないケースもある。また設立から1年を超えないと前年との売上高の比較ができず、申請すらできない。
一方、DTVSが4月に実施したベンチャーキャピタル(VC)へのアンケートでも85%が令和2年の投資額について、前年より減らす意向を示しており、このままでは平成20年のリーマン・ショック後の金融収縮で、多くのベンチャー企業が息絶えた状況の再来も懸念される。
調査を担当したDTVSの斎藤祐馬社長は「多くのSUで資本が毀損(きそん)された状態になっている。返済順位が後回しにできる劣後ローンや新株予約権付き融資、さらに政府系ファンドによる直接投資など、英仏のようなSU向けの資本増強策が必要」と指摘している。