日産、最大7500億円の大赤字見通し!下請け企業にも激震走る

日産自動車の2025年3月期連結最終損益が、最大7500億円の赤字となる見通しです。北米や日本などの工場の資産価値見直しによる5000億円超の減損損失が主な要因です。新体制下での経営再建への強い意志の表れとも言えますが、新興勢力の台頭や米国の追加関税など、日産を取り巻く環境は厳しさを増しています。そして、その影響は部品を供給するサプライヤー(下請け)企業にも深刻な影を落としています。

日産、販売不振で苦境に

日産の2025年3月期の世界販売台数は、前期比3%減の335万台となる見込みで、計画を5万台下回ります。主力の米国と中国市場での販売不振が響き、この5年間で販売台数は2割も減少しました。本業のもうけを示す営業利益も850億円と、従来予想を350億円下回る厳しい状況です。

日産自動車の資料写真日産自動車の資料写真

サプライヤー企業への影響深刻化、赤字転落の危機

日産のサプライチェーン(供給網)企業は神奈川県内に約2000社と、全国の1割が集中しています。日産の生産減少の影響は大きく、複数の一次サプライヤー企業が2025年3月期決算で最終赤字に転落する見通しです。

車体骨格を製造するユニプレスは、最終損益が200億円の赤字(前期は52億円の黒字)となる見込みです。足回り部品メーカーのヨロズも170億円の赤字(前期は39億円の赤字)を見込んでいます。両社とも当初は10億円の黒字を見込んでいましたが、下方修正を余儀なくされました。

ユニプレス幹部は「日産の業績悪化が原因だ。しっかりしてほしい」と憤りを隠せない様子です。同社は中国にある3工場のうち2工場を閉鎖し、人員削減を進める方針です。

ドア内装部品メーカーの河西工業は、2024年3月期まで5期連続で最終赤字を計上しています。2024年には日産から60億円の資金援助を受けましたが、2025年3月期も赤字幅の拡大が見込まれています。関係者は「日産と運命共同体。綱渡りの経営が続いている」と危機感を募らせています。

自動車業界の未来に暗雲

自動車業界全体が電動化や自動運転技術への対応に迫られる中、日産の業績悪化は業界全体への不安も高めています。 自動車産業アナリストの山田一郎氏(仮名)は「日産の業績低迷は、日本の自動車産業全体の競争力低下を象徴している。抜本的な改革が必要だ」と指摘しています。

日産の再建は、サプライヤー企業の存続にも直結する重要な課題です。今後の動向に注目が集まります。