賭けマージャンを認めた東京高検の黒川弘務検事長の辞表提出を受け、与党では21日、黒川氏を批判しつつ安倍晋三政権を擁護する声が出た。これに対し、野党は黒川氏の定年延長を閣議決定した判断を問題視し、今後も政権を追及する構えだ。
「報じられていることが事実であれば言語道断であり、辞意を固めたことも当然ではないか」
自民党の岸田文雄政調会長は21日、黒川氏について記者団にこう語り非難した。公明党の北側一雄副代表も記者会見で「極めて遺憾といわざるを得ない」と述べるなど、与党内でも黒川氏への視線は厳しい。
一方で、政権への影響については「首相が『人事に介入した』と騒がれた人がいなくなり、むしろすっきりした」(自民党幹部)との声も出ている。北側氏も「検察当局から出てきた人事案を官邸は了とした。むしろ検察当局の判断が問われる」と指摘した。
これに対し、立憲民主党の枝野幸男代表は、黒川氏の定年を延長した閣議決定に絡めて「脱法的な閣議決定で検事長の地位にとどめた内閣全体の責任だ」と述べ、首相らの責任を追及する姿勢を示した。国民民主党の玉木雄一郎代表も「例外的に定年を延長した内閣の責任を厳しく問わなければならない」と批判。共産党の志位和夫委員長は「(閣議決定の)経過を明らかにする責任は首相にある」と強調した。
野党は22日の国会審議には応じる構えで、同時に衆参両院で首相出席の予算委員会集中審議を求める方針だ。政府・与党の対応次第では態度を硬化させ、その後の国会審議に影響を与える可能性もある。
自民党の石破茂元幹事長も「なぜこの人を任命したのか。説明責任は任命責任とともに内閣が負う」と安倍政権に矛先を向けた。