【主張】緊急事態全て解除 次の波への備えを急げ 対応検証し新たな戦略を示せ

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 新型コロナウイルスの感染状況や医療体制などが改善したとして、政府は首都圏の1都3県と北海道で継続していた緊急事態宣言を解除した。4月7日以来の宣言は、今月末の期限を待たずに全ての都道府県で解かれた。

 国民挙げての努力で感染状況が落ち着いたことはよかった。これからは、自粛の副作用で冷え込んでしまった社会経済の活動再開へ歩み出したい。

 ただし、新型ウイルスが消えたわけではなく、油断しては危うい。密閉、密集、密接の「3密」状態を避けるなど感染防止策を続けたい。次の大きな流行の波を警戒し、抜本的な対策を講じておく必要もある。

 ≪医療者らに感謝したい≫

 全国の1日当たりの新規感染者数はピーク時の4月11日には750人近くだったが、最近は大幅に減った。国内で感染が確認された1万6千人超のうち1万4千人超が入院や療養を終えた。

 感染の拡大を遅らせ、抑えることで地域の医療体制崩壊を防ぎ、一人でも多くの命を救うことが宣言のねらいだった。だからこそ外出自粛やテレワーク、休業の要請に国民や事業者が協力した。

 医師や看護師、保健師など感染の危険があるにもかかわらず責務を果たしてきた全ての関係者の献身には改めて感謝したい。

 安倍晋三首相は記者会見で、罰則による強制を伴わずに「今回の流行をほぼ収束できた。日本モデルの力を示した」と語った。

 新型ウイルスへの対応は今も手探りだ。宣言を解除するといっても「3密」状態を避けたり、社会的距離(ソーシャルディスタンス)をとったりするなど「新しい生活様式」を続けることが前提となる。

 政府や都道府県が再び感染拡大に転じることを警戒して、自粛要請の緩和を段階的に行う方針であるのは妥当だ。

 政府は基本的対処方針を改め、およそ3週間ごとに感染状況を踏まえ社会経済活動を広げていくことにした。都道府県も独自の緩和基準を設けている。今回の宣言当初に政府と東京都が対立し、休業要請が遅れたような不手際は繰り返さないでもらいたい。

 次の波に備え、首相が会見で表明したように医療、監視体制の整備を急がなくてはならない。重症、中等症の患者が入院するベッドは増床されたが、さらなる確保が求められる。無症状や軽症の陽性者の療養施設も今のうちに準備したい。PCR検査など各種検査の態勢拡充も優先課題である。

 世界はワクチンや治療薬の開発に全力を尽くしているが、次の波に間に合う保証はない。政府は、再び大規模な流行が始まれば、どのような戦略で乗り越えるつもりなのかを示してもらいたい。

 ≪行政の弱点克服必要だ≫

 大幅な行動制限を伴う戦略はできれば繰り返したくはない。社会や経済を冷え込ませ、多くの人の暮らしを直撃したからだ。何度も数十兆円規模の補正予算を組むわけにもいくまい。

 安倍首相は、各省庁や専門家会議などに指示して新たな戦略がとれないか検討し、結果が出れば早期に説明してもらいたい。

 そのためには宣言時はもちろん、宣言前にさかのぼり政府などの行動を検証する必要がある。首相は会見で「検証の段階でない」と述べたが翻意すべきだ。検証を問題点改善にもつなげたい。

 中国・武漢での流行を前にしても政府の腰は重かった。全国一斉休校の表明(2月27日)や、習近平中国国家主席の国賓来日延期と同じ日の中国全土からの入国規制の発表(3月5日)あたりから、政府のエンジンはようやくかかったようにもみえる。

 ウイルス禍は、先進国とされる日本の行政や医療、教育システムの弱点を明らかにした。宣言が解除された今になっても政府からのマスク配布は完了せず、持続化給付金や一律給付の10万円などは行き渡っていない。検査の拡充も遅々としている。

 このようなありさまだから、新型ウイルス感染症による日本の死者数(人口比)が先進国の中でけた違いに少ないのに内閣支持率が低迷するのだろう。行政や学校のIT化や新型ウイルス対策の特別措置法の改正などやるべきことは山積している。安倍首相はリーダーシップを発揮して、ボトルネックを急ぎ取り除くべきだ。

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