新型コロナウイルスと闘う人たちを歌で応援する産経新聞社とシンガー・ソングライター、矢井田瞳さんとの共同プロジェクトで、新たな曲『あなたのSTORY』が生まれた。先日、紙面などで募集したメッセージを基にポジティブな歌詞を紡ぎ出した矢井田さん。爽快なサウンドと力強いボーカルで曲を仕上げ、「どこかの誰かが少しでも前向きな気持ちになってくれれば」と話している。
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あなたの奮闘 その軌跡が道しるべに
みんなが一つになって
「当たり前のようにあった『日常』がそうじゃなかったことに気付いたという内容が多く、共感しました」
歌詞作りに生かそうと何度もメッセージに目を通した矢井田さんはそう振り返る。「コロナのような、どうしようもなく大きなものにぶつかったときは、今あるものを大事にしながら、みんなが一つになって向かっていくしかない」との思いを強くした。
メッセージを寄せた10~90代は医療や介護、スーパーなどの現場で働くエッセンシャルワーカー(生活必須職従事者)から子育て中の親まで立場はさまざま。それぞれの状況下で必死に生きるみんなの心に響く歌にするにはどうすればいいか苦心したという。
一番伝えたかったのは「あなたの願いは誰かの道しるべ」というフレーズ。「自分のためよりも、誰かの幸せのための方が願いのパワーって強い気がして。その頑張った『軌跡』みたいなものが、誰かにとっての道しるべ、希望になるのかなって…」。コロナ禍での一人一人の“奮闘の軌跡”を「STORY」という言葉に込めた。
きっと乗り越えられる
緊急事態宣言下の東京の自宅で「STAY HOME」しながら曲作りに励んだ矢井田さんはエッセンシャルワーカーに対し、「感謝の気持ちでいっぱい。いつもの宅配のお兄ちゃんもちょっと光って見えて(笑)。皆さんへの『ありがとう』って思いを歌詞に盛り込みました。パワーが届きますように、って」。
メッセージを送ってくれた読者らには「『ワンチーム』として繋がることの大切さを音楽で表現できたかなと思います。皆さんのおかげでこの曲ができました」と感謝した。
関西大学文学部を卒業した矢井田さんの卒論テーマは、奇しくもカミュの『ペスト』。人類はこれまで何度も疫病の危機を乗り越えてきたからこそ今があると語り、こう締めくくった。
「きっと今回も乗り越えられると、私は信じています」
最前線の人に感謝届けたい
産経読者を中心に、手紙やメールなどで寄せられたメッセージは120件超。多かったのは、エッセンシャルワーカーへの感謝の言葉だ。「最前線でご自身の命を顧みず、力を発揮してくださっている皆さんに心から感謝したいです。今はどの職業に対しても、その後ろにどれだけ多くの人が関わり、支えてもらっているのか深く考えるようになりました」(大阪府、声楽指導の女性)
身近な家族へのメッセージも目立った。妻が保育園で働く夫は「マスクをすると怖くて泣き出す子がいるため、外しての保育。不安ばかりで“作り笑い”という名のマスクを着け、子供たちを抱きかかえる」。コロナ病棟に志願した看護師の娘への応援歌としての思いを詩に込めた父親も。妻が病院で働く夫は「仕事から帰ると、休校中の子供が今まで以上にくっついてきます。私自身、大切な人を守る事をより強く意識するようになりました。嫁も大切な一人です。感謝してます。尊敬してます。ありがとう」。
長野県の男性は「誰かに必要とされていると感じた時、誰かの役に立った時に喜びを感じます。そして、そのやりとりが未来への希望、私の活力になっているように思います。人の心が人を動かすんですね」と結んだ。
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【プロフィル】矢井田瞳(やいだ・ひとみ) 昭和53年生まれ。大阪府豊中市出身で、愛称は“ヤイコ”。関西大学在学中の19歳でギターを始め、平成12年にメジャーデビュー。「My Sweet Darlin’」でブレークし、人気アーティストとしての地位を築く。今年、デビュー20周年を迎えた。
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■「ラジオ産経」に29日出演
共同キャンペーンを行うラジオ大阪では、5月29日午前7時50分~11時の「ハッピー・プラス」で曲を紹介。午後9~11時の「ラジオ産経」では、矢井田さんも出演します。インターネットで番組配信する「radiko」(ラジコ)」でも聴くことができます(一部地域は有料)。30日からは「iTunes Store」でデジタル配信も開始。
ご感想はFAX(06・6633・0359)かメール(aftercorona@sankei.co.jp)で。紙面などでご紹介させていただくことがあります。