「ビートルズは終わらない」元EMI、行方均氏 愛にあふれた遺作





「ビートルズは終わらない」の表紙

 「今年はビートルズの解散50年です。おいおい、そんなにたったのかよと思いつつ、『ビートルズは終わらない』を入稿しながら年を越しました」

 元EMIミュージック・ジャパン会長で、音楽関係の著作も多い行方(なめかた)均さんは、今年元日の年賀のメールにそう書いた。ビートルズに関するコラムや対談で構成した、その「ビートルズは終わらない」は先月末、シンコーミュージック・エンタテイメントから出たが、行方さんは見届けることなく3月、白血病のため68歳で亡くなった。

 行方さんは、レコード会社の東芝EMI(現ユニバーサルミュージック)で、ジャズの名門、米ブルーノート・レーベルの世界的な復興に尽力したことで知られる。また、平成9年から25年までに発売されたビートルズ作品の日本での宣伝・販売の責任者でもあり、ナンバーワン・ヒット曲で編んだアルバム「ザ・ビートルズ 1」(12年)を300万枚も売るなど平成のビートルズ人気を仕掛けた。

 ビートルズは昭和45年に解散した英国のロックバンドだが、平成になっても大きなビジネスを生んだ。この本は、日本でその陣頭指揮をとったレコードマンが裏話を交えて書いたが、ファンとしての深い愛情に歯に衣(きぬ)着せぬ筆さばきが加わったことで、ほかの人には書けない痛快な文章になった。そこが大きな魅力だ。

 青地に「4」を描いた装丁の意匠は、ビートルズファンならニヤリとするだろう。四六判。368ページ。2000円+税。(石井健)



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