【主張】都知事選 討論会で具体的政策示せ


 東京都知事選の候補者による討論会が、17日に開かれる。

 主催者の日本記者クラブに対し、小池百合子知事側から期限までに回答がなく、中止されようとしていたが、ようやく参加が伝えられた。

 君子の豹変(ひょうへん)を歓迎したい。都民に広く候補者の人となりや考え方を知ってもらうためにも、知事をはじめとする多くの候補者が参加して論を戦わせてほしい。

 今回の都知事選は、新型コロナウイルス感染の広がりで、首都東京を取り巻く環境が激変する中での戦いとなる。討論会もテレビ会議方式で行われる。各候補は具体的な政策を掲げ、他候補との論戦を通じて有権者に幅広い判断材料を提示してほしい。

 例えば、来夏に延期された東京五輪・パラリンピックについて、小池氏は「コロナに打ち勝ち、東京が安全な都市であるという証左を積み上げたい」と開催に意欲をみせている。

 これに対し、立憲民主党などが支援する元日弁連会長の宇都宮健児氏や、15日に出馬を表明したれいわ新選組代表の山本太郎氏は、五輪中止の判断を訴えている。

 真っ向対立する課題を候補者同士が論じ合うことに意味がある。それが多くの候補者に参加を望む理由である。

 選挙期間中も小池氏は公務を優先し、オンライン選挙を展開する考えを示している。

 人が密集する街頭演説で主張を訴える従来型の選挙は難しく、討論会は各候補にとっても絶好の機会となるはずだ。

 何より問われるのは、新型コロナ対策と収束後の社会経済をどう立て直すかだ。

 東京アラートの解除後も気を抜けない状態が続いている。15日には解除後で最多となる48人の新たな感染者が報告された。前日は47人だった。新型コロナとの戦いは終わっていない。日常を取り戻すための方策についても各候補者に具体的に聞きたい。

 人口1400万人を抱える超過密都市の東京にとって、防疫・防災対策は深刻な問題である。今後30年間に約70%の確率で発生するとされる首都直下地震への対応も喫緊の課題だ。

 小池氏には学歴詐称疑惑も突きつけられている。討論会の場で明確な説明を求めたいことは、それこそ山ほどある。



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