国民民主党の前原誠司元外相と日本維新の会の馬場伸幸幹事長らが中心となって立ち上げた地方分権に関する勉強会の初会合が16日、国会内で開かれた。「大阪都構想」の実現や地方分権を進める法改正などを目指す。ただ、立憲民主党との合流を模索する国民の合流推進派は両氏の動きを警戒しており、神経戦が続きそうだ。
■維新・国民から40人程度出席
「地域が頑張れば、国の目標を達成できる。国が外交・安全保障、国家戦略に特化することで、失われた30年を変える大きなきっかけになるのではないか」
代表世話人に就いた前原氏はこうあいさつし、地方分権の推進で国のあり方を変えられると訴えた。勉強会には維新と国民の議員ら40人ほどが出席したが、維新議員の姿が目立った。
前原、馬場両氏は純粋な「政策勉強会」と強調するが、国民の一部は警戒感を隠さない。国民は結党から2年たつが、政党支持率は1%前後をさまよう。国民内には次期衆院選では、共産党も含めた野党共闘を進める立民と合流して臨むべきだという声が根強く、共産への接近を快く思わない前原氏らは少数派だ。
■「小さく生んで、大きく育てる」
国民の平野博文幹事長は16日、記者団に「私は開くなという立場にない」と強調したが、実際は設立趣意書に維新の看板政策である「大阪都構想」の文言が盛り込まれるのを知ると、入会予定の国民の議員に辞退するよう迫った。
結果として、当初、役員名簿に名を連ねていた国民の馬淵澄夫元国土交通相や小熊慎司役員室長らは姿を見せなかった。平野氏に近い中堅議員は「この勉強会は立民と国民の合流の邪魔になる。これで維新への流れは止まる」と打ち明ける。
こうした国民の事情を見透かしたのか、来月15日の勉強会には新型コロナウイルス対応で支持を集める維新副代表の吉村洋文大阪府知事を講師に招くことが決まっている。国民を揺さぶる維新の狙いが透ける。
馬場氏は勉強会終了後、記者団に「小さく生んで、大きく育てるのが、健康優良児をつくるコツだ。健康な政治家をつくるように頑張りたい」と語り、含みを持たせた。(千田恒弥)