日航、全社員に支援金15万円 コロナ禍の社員を鼓舞、運輸業界で賞与減額相次ぐ中


 日本航空が7月初めに、ほぼ全社員に対して1人15万円程度の特別支援金を支給する方針を固めたことが20日、分かった。新型コロナウイルス感染拡大の影響で業績が悪化したため夏季賞与は前年から半減する見込みだが、別途、社員を鼓舞する目的で支給する。総額は50億円程度になる見通しだ。外出自粛の影響などで収益が悪化し、運輸業界で夏の賞与を減額するケースが相次ぐ中、日航は異例の対応に踏み切る。

 特別支援金は在宅勤務が基本となる中、通信環境の整備費用としての意味合いや、「厳しい状況でも全社員と一緒に前に進みたいという経営陣の思い」(関係者)から給付が決まった。同社グループの約3万6千人のほぼ全員に支払われ、金額は職種などで異なるが1人当たり15万円程度になるという。

 日航は新型コロナの影響で令和2年1~3月期の営業損益が195億円の赤字となり、3年3月期の業績予想も「未定」と業績に暗雲が漂う。また、空港使用料の減免などの政府支援も受ける中で、総額50億円規模の支援金の給付は議論を呼ぶ可能性もある。

 ただ、夏の賞与は業績悪化を受け、平成23年の夏以来となる基本給の1カ月分(前年夏は基本給の2カ月分)とする方針を固め、現在労組に提案中だ。支援金と夏の賞与は、同時期に支払われるとみられる。

 新型コロナの影響が直撃した運輸業界では夏の賞与を減額する動きが広がっており、競合の全日本空輸も前年の半額にする方向で労使が交渉中だ。JR東日本も基準内賃金2・4カ月分に5千円を加算した額を組合に回答し、前年度の2・91カ月分から約30年ぶりの低水準まで落ち込むという。JR東海も前年から0・1カ月分減の2・95カ月分とする方針だ。



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