昨年7月の参院選広島選挙区をめぐり、地元議員らに多額の現金を配ったとして前法相で衆院議員、河井克行容疑者(57)=広島3区=と妻で参院議員、案里容疑者(46)=広島選挙区=が東京地検特捜部に逮捕された公選法違反事件で、逮捕容疑となった現金配布先の94人の中に広島県三原市の天満(てんま)祥典市長(73)が含まれ、現金150万円を受け取った疑いのあることが23日、関係者への取材で分かった。
94人の中で100万円以上を受け取った疑いがあるのは、天満市長と広島県議の男性の2人であることも判明。また、安芸太田町の小坂真治前町長(71)が94人の中に含まれていることも分かった。
関係者によると、天満市長側は昨年3月と6月、克行容疑者から2回にわたり現金計150万円を受け取ったとされる。天満市長はこれまでの報道陣の取材に「(現金を)もらっているわけがない」などと否定していた。
天満市長の後援会幹部も23日夜、産経新聞の取材に「市長は受領自体を否定していると認識している」と説明した。
また、男性県議は県南西部の選出。天満市長とともに克行容疑者ら夫妻が地盤を持たない地域で、案里容疑者の支持獲得に重要な役割を担ったとみられる。夫妻の陣営関係者によると、男性県議は多数の当選を重ねるなどして県内で影響力を持っており、天満市長は「案里容疑者を熱心に応援した一人」だという。
広島県内の首長経験者をめぐっては、小坂前町長が昨年4月下旬ごろ、自宅を訪れた克行容疑者から封筒を押し問答の末に受け取ったとし、今年3月に封筒の中身を確認すると20万円が入っていることが分かったと説明していた。
克行容疑者ら夫妻は昨年3~8月、参院選で案里容疑者の票の取りまとめを依頼するなどし、報酬として計約2570万円を地元議員や後援会関係者ら94人に渡した疑いが持たれている。これまでに94人のうち、約40人が地元議員だったことが判明している。