【ワシントン=黒瀬悦成】ボルトン前米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)がトランプ政権の内幕を描いた著書「それが起きた部屋」が日本時間23日に発売された。
ボルトン氏によると、トランプ大統領は2018年6月のワシントンでの安倍晋三首相との首脳会談の際、日米安全保障条約による米国の日本防衛義務に関し「米国は条約に基づき日本を守るが、逆(に日本が米国を守ること)はない」と不満を表明。条約は「不公平」との認識を示した。
首相の求めで、トランプ氏は北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長との全ての首脳会談で日本人拉致問題を提起。ボルトン氏によると18年6月、シンガポールでの初の首脳会談の合意文書を作成する交渉で、米側は拉致問題の記述を北朝鮮側に要求したが、最終的に拉致問題に触れない短い共同声明案で合意したという。
この会談では、金氏が「(段階的な制裁緩和と非核化を同時並行で進める)行動対行動に同意してくれてありがたい」と述べたのに対し、トランプ氏は金氏の認識を訂正せず、制裁緩和を期待させた。
トランプ氏は22日、「ボルトン氏は著しく無能でうそつきだ。(著書の内容は)機密情報だ!」とツイッターで攻撃した。