5日投開票の都知事選で、野党は第一党の立憲民主党が統一候補を擁立できなかった結果、野党勢力を結集できず、小池百合子氏に独走を許した。選挙戦では野党内の路線対立も浮き彫りになり、次期衆院選に向け不安を残した。
「(都知事選は)全ての野党がまとまることができなかったが、総選挙はできる限り(与党と)一騎打ちの構図に持っていくために努力しないといけない」
小池氏の再選が確実になった5日夜、立民の長妻昭選対委員長は記者団の取材にこう答えた。
都知事選で野党は、立民と共産党、社民党が支援する元日弁連会長の宇都宮健児氏、れいわ新選組の山本太郎代表、日本維新の会が推薦する元熊本県副知事の小野泰輔氏-の3陣営に分かれた。
“分裂選挙”となったのは、立民主導で共闘を実現できなかったことが大きい。立民は山本氏の擁立を一時検討したが、次期衆院選で「消費税率5%」を共通政策とするよう山本氏に求められ、見送った。
このため選挙戦は、立民の支援する宇都宮氏が山本氏ら他の野党系候補を上回る得票ができるかに注目が集まった。
自主投票を決めた国民民主党は対応が割れた。平野博文幹事長や小沢一郎衆院議員ら立民との合流に積極的な議員は、宇都宮氏の支援に回ったが、馬淵澄夫元国土交通相は山本氏を応援した。減税に慎重な立民執行部を牽制(けんせい)し、れいわを含む幅広い野党連携を探るためだ。共産に接近する立民との合流に否定的な前原誠司元外相も小野氏の応援に入った。
立民幹部は「都知事選は国政とは関係ない」と強弁する。ただ、あらためて立民主導の共闘や合流の限界が露呈した形で、衆院選に向けた課題は山積している。(田村龍彦)