変わる香港のデモ風景 白紙、国歌で抗議





中国国歌の歌詞を掲げて抗議する市民も(藤本欣也撮影)
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 【香港=藤本欣也】香港に言論や集会の自由を制限する「香港国家安全維持法」(国安法)が施行されて7日で1週間が過ぎ、抗議活動の現場からは「香港独立」の旗が消えた。代わりに表れたのは口を閉ざす市民と、無言の抗議を意味する「白い紙」だった。

 6日夜、九竜エリアのショッピングモールに約200人が集まり、国安法に反対する抗議活動を行った。

 モール内に配備された警官隊を前に、女性3人が黙って白紙を掲げていた。最近、ネット上では、白紙を持参して抗議活動に参加するよう呼びかけられているのだ。

 20代という女性の一人は「言えない言葉が増えるばかり。でも抗議を続けないといけない」と言葉少なに語った。

 別の中年女性は、白紙に中国国歌の歌詞を貼り付けていた。

 〈立ち上がれ、奴隷になることを望まぬ人々よ!〉

 女性は「見ての通り」とばかりに口をつぐんだ。中国国歌を強調することで、逆に市民に抗議活動への参加を呼び掛けているようだ。日増しに市民の口が重くなっている。

 これまでに10人が国安法違反の疑いで逮捕されている。「香港独立」の旗を所持していただけで逮捕されたケースもあった。

 昨年から続く反政府デモのテーマソング「香港に栄光あれ」を歌って、検挙されたケースはまだないが、歌詞を変えて表現する人も少なくない。

 これに対し、ネット上では「禁止されてもいないのに、自主規制をするのはいかがなものか」といった批判の声も上がっている。

 市民の間では、フェイスブックなど会員制交流サイト(SNS)上の自らの敏感な発言を削除する動きが広がる。より機密性の高い無料通信アプリに切り替えるなど、“自衛策”に走る市民も増えている。メッセージと通話が常に暗号化される通信アプリ「シグナル」が人気だ。人種差別に抗議する米国のデモでも広く使われているという。シグナルのダウンロード数は5月、世界で100万回に達したとの報道もある。



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