梅雨前線が引き起こした今回の豪雨による全半壊や浸水などの住宅被害が、九州7県と岐阜、長野両県で4700棟を超えたことが8日、分かった。球磨川が氾濫して広範囲が浸水した熊本県内の被害把握が進んでおらず、実数はさらに増える見通し。国土交通省は岐阜や大分など9県の計59河川で氾濫を確認したと発表。熊本、鹿児島など18県で計123件の土砂災害も確認した。政府は今回の豪雨を激甚災害に指定する見通しになったと明らかにした。
気象庁は8日、岐阜、長野両県に一時、大雨特別警報を発表した。前線は10日ごろにかけて本州付近に停滞する見込み。雨で地盤が緩んでおり、警戒を呼び掛けている。九州は死者57人、心肺停止4人、行方不明者が少なくとも12人に上った。
住宅損壊(全半壊・一部破損)は大分県11棟、鹿児島県9棟など。浸水(床上・床下)は福岡県3995棟、鹿児島県309棟、熊本県132棟、大分県112棟など。
安倍晋三首相は8日の豪雨非常災害対策本部で「住まいの再建を進めるためには罹災(りさい)証明書の早期交付が不可欠だ」と述べ、被害調査の迅速化を指示した。政府は激甚災害指定の対象地域や支援内容を詰め、今週末にも公表する。
総務省消防庁によると午後2時現在、6県の87万6千人に避難指示が出た。福岡(約17万5千世帯、約38万人)、熊本(約9万3千世帯、約20万6千人)、岐阜(約8万8千世帯、約21万9千人)が多く、大分、長野、兵庫各県にも広がった。道路の寸断などで孤立した世帯は熊本県だけで約3800世帯に達した。
岐阜県下呂市や高山市でも道路の寸断などで計約1600世帯、計約4千人以上が孤立。長野県松本市で国道が土砂崩れで通行止めとなり、上高地の宿泊施設の客ら290人余りが周辺と往来できなくなった。
8日までに豪雨の影響による休校を文部科学省に報告した国公私立の小中高校や大学などは広島や愛媛、長崎、福岡、大分、熊本など17県の2244校に上った。