「Fukushima50」カムバック上映 佐藤浩市さんら舞台挨拶





映画「Fukushima 50(フクシマフィフティ)」で舞台あいさつする俳優の渡辺謙さん(左)と佐藤浩市さん=9日午後、東京・有楽町(飯田英男撮影)

 新型コロナウイルスの感染拡大により映画館での上映が中断し、一時、有料ストリーミング配信されていた「Fukushima50(フクシマフィフティ)」(若松節朗(せつろう)監督)が劇場にカムバック。東京・丸の内ピカデリーで9日、本格的な上映再開を受け、主演の佐藤浩市さんと渡辺謙さんが舞台挨拶(あいさつ)に立った。

 「Fuku-」は平成23年3月11日に発生した東日本大震災による津波で、制御不能となった福島第1原子力発電所内に残った作業員らの壮絶な闘いを描いた作品。原作は門田隆将(かどた・りゅうしょう)さんのノンフィクション「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」(角川文庫刊)。

 佐藤さんは「数奇というか、そういう(コロナ禍の)中、この映画はいろいろな変遷をたどって、こうやってお客さまの前に立てるのは不思議な感じだ」と語った。

 原発事故や医療の最前線について問われた渡辺さんは「見えない敵と向き合わなければならない、その恐怖に尽きると思う。ある種の葛藤の中で、人の命と向き合わざるを得ない。その緊張感と恐怖との闘いが、今回の厄災(コロナ禍)にもあると思う」と話した。

 また、この日は事故当時、福島第1原発所長として本店や政府と闘った吉田昌郎さんの命日。吉田さん役を務めた渡辺さんは「現場を大事にした所長ということを、この映画を通して感じてもらえたら、吉田さんも喜んでくれるのではないか」と故人をしのんだ。

 3月6日に公開されたが、4月7日の緊急事態宣言を受けて関東と関西のほとんどの映画館が休業。さらに16日に宣言が全国に拡大されると、すべての映画館が閉まったため、ネットでの配信をスタートさせた。

 映画館が再開するまでの期間限定としながらも、公開初日から1カ月余りでの異例の配信は映画界の常識を覆す出来事で話題を集めた。5月15日から劇場上映が順次再開され、配信は終了している。

(水沼啓子)



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