【ワシントン=塩原永久】トランプ米大統領は10日、中国と「第2段階」の貿易協議を再開することを「考えていない」と述べた。2月に限定的な内容の第1段階の貿易協定を発効させ、対象を広げた第2段階交渉に乗り出す意向だった。香港情勢などをめぐり対中関係が悪化しており、当面は交渉を見合わせる。
トランプ氏は、記者団に「中国との関係はひどく損なわれた」と指摘し、協議再開に向けた機運が米国側にないとの認識を示した。
トランプ米政権は、中国による新型コロナウイルス対応や、香港国家安全維持法(国安法)の施行を強く批判。9日には、中国新疆ウイグル自治区での人権侵害に関与した中国当局者への制裁措置を発表した。
トランプ氏は第1段階協議の合意後、第2段階交渉に早期に乗り出す考えを示していた。ただ、両国による妥結は、11月の大統領選後になるとの見通しを示していた。
一方、米政府は、中国が米国産品の輸入を大幅に増やすとした第1段階協定を順守するよう中国側に迫っている。
第1段階協定は中国に知的財産権保護を求めたが、産業補助金などへの対処は第2段階以降の協議に先送りしていた。