九州を中心に長期間続く記録的な豪雨の影響で、比較的雨量の少なかった東日本でも土砂災害が起きる危険性が高まった状況が続いている。13日までの10日間の降水量は東日本でも平年同時期の2~7倍を記録した。東日本の地盤は一般に西日本よりも雨に弱い。少量の雨でも土砂災害が起きやすい上、長期の雨で地盤が緩んでおり、気象庁は土砂災害への警戒が必要としている。
3日から続く豪雨は14日に12日目を迎え、同庁が11日間とした平成30年7月の西日本豪雨を超えた。同庁によると、今回の豪雨の一つの特徴は期間だけでなく、雨が降り注ぐ範囲の広さだ。
13日までの10日間の降水量をみると、平年に比べて最も降水量が増えた観測地点は、東日本に位置する山梨県南部町で7・7倍。沖縄以外の九州各県や広島などの中国地方に加え、青森や静岡、長野、神奈川などの東日本の各地点でも3~7倍の雨が降り注ぎ、平年の2倍の雨が降った地点は九州から北海道まで広がっている。
気象庁によると、雨は15日以降はいったん弱まる見込み。だが、同庁の杉本悟史主任予報官によると、長期間の雨で土壌に水分がたまった影響で、雨が地面に染み込んでから地下水として流れ出すまでに数日かかる場合もあるといい、「1日ぐらい雨がやんでも安心はできない」と指摘する。
14日午後5時時点で土砂災害危険度の分布が注意や警戒のレベルに達している地域は西日本が中心だ。ただ、杉本氏は「東日本は例年、西日本より雨が少ない代わりに雨に弱い地域が比較的多い」と指摘し、「東日本は土砂災害の危険度が高まるレベルが一般的に低い。今後、少ない雨でも注意レベルに達する可能性がある」と警告している。