学校法人「森友学園」をめぐる決裁文書改竄(かいざん)問題で、財務省近畿財務局職員の赤木俊夫さん=当時(54)=が自殺したのは、理財局長だった佐川宣寿(のぶひさ)氏らに改竄を強制されたことが原因として、赤木さんの妻、雅子さん(49)が国と佐川氏に計約1億1260万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が15日、大阪地裁(中尾彰裁判長)であった。国と佐川氏側はいずれも請求棄却を求め、争う姿勢を示した。
雅子さんは法廷で「夫が自ら命を絶った原因と経緯が明らかになるよう、訴訟を進めてほしい」などと意見陳述。佐川氏や当時の近財局幹部らに向け、法廷で証言するよう求めた。
請求棄却を求めた国側は答弁書で、改竄の経緯など事実関係のほとんどを争わないとした上で、国に注意義務違反があったとする原告側主張についての認否は避けた。佐川氏側は「公務員が違法に損害を与えた場合の責任は個人ではなく国が負う」などと反論した。
訴状によると、赤木さんは平成29年、佐川氏らの指示で学園への国有地売却に関する決裁文書を3~4回改竄。作業に伴う長時間労働などで心理的負荷が蓄積して鬱病を発症し、30年3月に自殺したとしている。自殺について国は、公務員の労災にあたる「公務災害」と認定している。
弁論終了後、雅子さんは大阪市内で記者会見し、「今日が国との戦いのスタートだと感じます。見守ってくれている夫と一緒に戦いたいと思います」と話した。