参院選で躍進した参政党が、選挙後の記者会見で一部記者の出席を拒否する問題が発生しました。特に、同党を批判的に報じてきたメディアの取材を拒否したとされる今回の対応は、公の政党としての姿勢とメディアの役割について大きな議論を呼んでいます。この問題は、テレビ番組「報道特集」との間に生じた「偏向報道」を巡る対立を背景にしています。
参政党による会見出席拒否の経緯
参政党は、26日の「報道特集」が報じたように、参院選後の記者会見において、自党に批判的な報道を行ってきた記者の取材を拒否しました。これには、会見に出席できなかった地方紙記者の主張も含まれており、「メディア排除」ともとれるこの対応に対し、多くの疑問が投げかけられています。これは、一つの政党がメディアを選別し、情報発信を制限しようとする試みとして注目されています。
TBS放送センターの外観。参政党と「報道特集」の論争の舞台となった放送局を示す。
「報道特集」が報じた参政党「外国人政策」の内容
今回の会見拒否問題の根底には、参院選期間中の12日に放送されたTBS「報道特集」が、参政党の「外国人政策」を取り上げた特集があります。番組では、「日本人ファースト」を掲げる参政党が支持を伸ばす中で、「外国人政策」が争点として急浮上していると紹介されました。その際、画面上には「根拠のない“外国人優遇”」「広がる“排外主義”への不安」「“選挙ヘイト”を許さない」といったテロップが表示され、識者の見解や各方面の動きが伝えられました。
番組の終盤には、山本恵里伽キャスターが「強硬な主張が急に支持を集めるであるとか、社会が決して受け入れてはこなかった排外的な差別的な言葉がSNSで拡散していく、そういった現実に正直すごく戸惑いを感じています」と述べ、有権者に想像力を持って投票するよう促しました。また、日下部正樹キャスターも「本当なら差別を止めるはずの政治家が誤った情報をもとに、外国人が優遇されていると喧伝しています。外国人がいなくなれば本当に問題が解決するんでしょうか。差別が票になるような社会にしてはならないと思います」と発言し、懸念を表明しました。
参政党からの「偏向報道」抗議と「報道特集」の反論
「報道特集」のこの報道に対し、参政党は翌13日、「当党の外国人政策について、著しく公平性・中立性を欠いた内容」「不当な偏向報道を受けた」として厳重に抗議しました。
これに対し、「報道特集」側は、参院選の争点に「外国人政策」が急浮上している状況を踏まえ、排外主義の高まりへの懸念を客観的な統計や、様々な当事者、人権問題に取り組む団体、専門家らの声を中心に問題提起したものであると反論。この報道が「有権者に判断材料を示すという高い公共性、公益性がある」との見解を示し、自らの報道姿勢の正当性を主張しました。
両者の見解の相違は深まり、参政党は最終的に「当党と放送事業者との間で、BPO放送人権委員会の申立要件にあたる『相容れない状況』が生じたと判断」し、正式にBPOへの申立てを行うことを決定しました。
結論
参政党による記者会見での特定メディア拒否問題は、同党と「報道特集」間の「偏向報道」を巡る対立に端を発しています。この一連の出来事は、メディアの報道の自由と政党の開かれた情報公開のあり方、そして社会における差別や排外主義に対する議論の重要性を浮き彫りにしています。今後のBPOの判断と、両者の対応が注目されます。
参考文献:
- Yahoo!ニュース (2025年7月26日掲載記事): 「参政党が会見で報道特集の記者を拒否…過去の放送を巡り「不当な偏向報道を受けた」とBPO申立」
- TBS「報道特集」関連報道