足利市が「映像のまち」推進の拠点と位置付ける旧県立足利西高校(同市大前町)が今年度末に、都市計画法に基づく市街化区域に編入される見通しとなった。市街化区域化されれば建築物の新設などの開発行為が可能となり、懸案の映像スタジオ整備などに弾みがつきそうだ。
旧県立足利西高校は映画・TVドラマ撮影で人気だ。庁内に映像のまち推進課が設置された平成26年度から令和元年度末までに、市内で撮影された映画など計322作品の内、約4割の124作品で使われた。
一方で、旧県立足利西高校用地4・1ヘクタールの約8割に当たる3・3ヘクタールは原則、開発行為のできない市街化調整区域になっている。このため、現状は残されている学校施設内での撮影に限定され、映像の拠点化に向けた施設改修などができない状態だった。
市街化調整区域から市街化区域への変更権限は県にあり、今年度が5年ごとの見直しの年に当たるため、市は映像関連事業に活用できるよう県と協議を重ねてきた。今後、都市計画案の縦覧、県都市計画審議会の審議などを経て、本年度末には市街化区域に編入される見込みとなった。
市は平成25年秋、地域活性化策として「映像のまち」構想を発表。アジア最大の撮影スタジオの誘致を柱とする映像関連企業の集積を目指しているが、現状は撮影ロケ誘致などのフィルムコミッション事業にとどまっている。映像のまち推進課は「既存体育館を活用したスタジオ整備などが可能となり、事業推進に追い風となる」と期待している。(川岸等)