中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)の小委員会は22日、令和2年度地域別最低賃金の改定について引き上げの目安額を示さないとする報告をまとめた。事実上、昨年度から据え置きとなる。目安額を示さなかったのはリーマン・ショック後の平成21年度以来、11年ぶり。新型コロナウイルスの影響で経済情勢が悪化する中、雇用の維持を優先する形となった。
政府は早期の時給千円の達成を目指しており、28年度から4年連続で年率3%程度の大幅引き上げを実現してきた。コロナ禍の影響でこうした流れが足踏みすることになる。昨年度の全国平均は901円。東京都は1013円、神奈川県は1011円と初めて千円台に達した。
小委員会では労使の主張が真っ向から対立した。経営側は「足元の経済指標は最悪の状況」として凍結を要求。労働側は「経済再生に向けては内需喚起が不可欠」と引き上げを求めた。20日の小委員会で決着が見込まれていたが、意見の隔たりが大きく、22日までもつれた。
最低賃金を引き上げるかどうかは都道府県の判断に委ねられるが、引き上げは見送られる可能性が高い。