熊本県球磨村にある種豚場「そそぎ種豚場」は、今回の豪雨で、111頭のうち半数以上が濁流に流されるなどの被害を受けた。被災後も道路が寸断された状態が続いたため、難を逃れた豚も孤立。陸上自衛隊のヘリコプターが救出した。
種豚場では、種豚のほか年間約80頭しか出荷しない「一勝地赤豚」も飼育。肉は甘みがあり、脂身もさっぱりとした味わいで、人吉市や球磨村の旅館などで提供されるブランド豚だ。
4日の大雨で豚舎1つが土砂崩れに巻き込まれ、他の豚舎も浸水。経営者の淋博道さん(66)は毎日何回も、自宅と豚舎を行き来。生き残った54頭の世話を懸命に続けた。
しかし、孤立状態は解消されず、餌が尽きそうになった。家畜保健衛生所に助けを求め、16日、陸自ヘリによる異例の家畜救出活動が実現。種豚17頭と赤豚10頭を1頭ずつつり上げ、別の農場に移した。
淋さんは「一部だけでも救出してくれて本当に助かった」と話している。